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ローカル評議会システム 基礎設計書

1. 目的

単一LLMの迎合、指示逸脱、近視眼化、話題逸脱、自己レビュー忘れ、ハルシネーションを減らし、研究開発、OSS調査、技術設計、コードレビュー、顧客提案、仕様確認に使える実務向け相談システムを構築する。

2. 基本方針

  • モデル内部の記憶を正式記憶として扱わない
  • 正式記憶はローカルファイルに保存する
  • モデル同士の自由会話は行わず、書面回覧方式を採用する
  • 採用、保留、否定を明示する
  • 評議会推奨は自律生成し、正式決定だけを人間承認後に反映する
  • ルール遵守をモデル任せにしない
  • 形式検査、内容監査、人間承認を分離する
  • 全処理をGitで履歴管理する
  • 製品非依存の仕様と、Claude Code等の実装層を分離する
  • 最小構成から開始し、必要な機能だけ追加する

3. 製品非依存の最小構成

初期役職

  1. 主査

    • 質問を整理
    • 論点を分解
    • 調査区分を判定
    • 仮回答を作成
  2. 調査役

    • 必要な場合のみWebまたはローカル資料を調査
    • 公式資料、一次資料を優先
    • 出典、取得日、対応バージョンを記録
    • 未確認事項を分離
  3. 反対役

    • ユーザー前提と主査案の両方を疑う
    • 代替案、最悪ケース、見落としを提示
    • 根拠のない同意を禁止
  4. 書記

    • 各役の意見を改変せず整理
    • 一致点、対立点、未確認事項を記録
    • 採用、保留、否定候補を作成
    • 決定権を持たない
  5. Council Runner

    • 各工程を連続実行
    • 追加調査・再反証・差し戻しを判断
    • 条件付き結論を含む最終推奨を作成
  6. 人間

    • 評議会推奨を最終採否へ反映
    • 不可逆操作と正式記憶への反映を承認

調査区分

主査は議題ごとに次のいずれかを指定する。

  • NONE: 調査不要
  • LOCAL: ローカル資料のみ
  • WEB: Web調査必須 人間確認は調査区分に含めず、限定された escalation 状態として扱う。

4. 最小処理フロー

  1. 議題登録・議題ID発行
  2. Council Runnerが主査を実行
  3. 必要な場合のみ調査役を実行
  4. 反対役が反証
  5. Council Runnerが追加調査の要否を判定
  6. 必要なら追加調査・再反証
  7. 書記が議事録を作成
  8. 形式検査と内容監査を実行
  9. REVISE時は対象工程へ自動差し戻し
  10. 集約役が評議会推奨を作成
  11. 人間へ最終推奨を提示
  12. 人間が正式採用した場合のみ承認済み記録を更新
  13. Gitへ記録しSTATE.mdを更新

4.1 人間停止・再開

WAITING_FOR_HUMAN は通常の不確実性処理ではなく例外状態とする。

停止可能条件:

  • 人間しか持たない情報が主要結論を左右し、条件分岐でも代替できない
  • 目的または必須制約が解消不能に矛盾する
  • 不可逆操作、契約、支払い、公開、送信、削除の承認が必要
  • 法的・組織的権限が必要
  • 価値基準の衝突により、技術的根拠だけでは主要結論を選べない

UNKNOWN、実機未検証、証拠競合、複数案拮抗は停止せず、追加調査または条件付き結論へ変換する。

5. 検査の分離

形式検査

Hookまたは外部スクリプトで検査する。

  • 必須ファイルの存在
  • 必須項目の存在
  • ID形式
  • URL形式
  • 承認状態
  • 人間承認前の正式記録更新禁止
  • 機密情報をGit対象へ含めていないこと

内容監査

別コンテキストのLLMまたは人間が確認する。

  • 根拠が主張を支持しているか
  • 最終案と議事録が矛盾していないか
  • 未確認事項を断定していないか
  • 反対意見を不当に省略していないか

最終保証

人間が行う。

6. ファイル構成

CouncilSystem/
├─ .claude/                 # Claude Code設定、Subagent、Skill
├─ .council/                # active_run.json
├─ docs/                    # 補足設計文書
├─ hooks/                   # 決定論的検査
├─ .claude/skills/                  # 製品非依存Skill定義
├─ evidence/private/        # Git管理外の取得証拠
├─ runs/private/            # Git管理外の実行記録・議事録
├─ records/                 # 人間承認後の正式記録
├─ MASTER_DESIGN.md
├─ STATE.md
├─ AGENTS.md
├─ ROLE_RULES.md
├─ DECISION_RULES.md
├─ HOOKS.md
└─ SKILL_CONTRACT.md

7. 各ファイルの責務

MASTER_DESIGN.md

確定した全体構造、責務、処理順、採用方針を管理する。現在地や未決事項は持たない。

STATE.md

現在地、次の作業、未解決事項、再開手順を管理する。

AGENTS.md

全体に常時適用する最上位ルールだけを管理する。

ROLE_RULES.md

主査、調査役、反対役、書記、人間の責務と禁止事項を管理する。

DECISION_RULES.md

採用、保留、否定、失効、置換の判定条件を管理する。

DECISIONS.md / PENDING.md / REJECTED.md

採用済み、保留、否定をディレクトリで分離し、1決定1ファイルで管理する。状態変更時は同一ファイルを移動し、Git履歴で移動元を追跡する。

SOURCES.md

出典索引とメタデータを管理する。

evidence/

取得本文、引用、検証メモを保存する。外部資料は不信頼入力として扱う。

runs/private/

議題ごとの議事録、各役出力、実行ログをRUN/attempt単位で保存する。

runs/

各実行の入力、出力、モデル、プロンプト版、処理時間を保存する。モデル出力は正式事実として扱わない。

hooks/

形式検査だけを行う。意味的な正しさは保証しない。

8. ID体系

  • ISSUE-ID: 議題
  • RUN-ID: 実行
  • SOURCE-ID: 出典
  • DECISION-ID: 決定
  • CLAIM-ID: 検証対象の主張

関連記録はIDで相互参照する。

8.2 ID発行

  • IDは専用ジェネレーターだけが発行する。
  • id_registry.json と排他ロックを使用し、複数プロセスからの同時発行を防ぐ。
  • 手入力IDは形式検査でFAILとする。
  • CLAIM-ID形式は CLAIM-YYYY-NNNN とする。

8.1 機械可読出力

  • 各Skillの正本出力はJSONとする。
  • Markdownは人間閲覧用の派生表示とする。
  • 正式決定レコードだけは、1決定1Markdownファイル+YAML frontmatterを正本とする。
  • HookはJSONまたはfrontmatterを解析し、Markdown本文の自由記述を必須判定へ使わない。

9. 共通メタデータ

  • id
  • record_type
  • status
  • author
  • created_at
  • updated_at
  • verified
  • source_ids
  • approved_by
  • supersedes

10. セキュリティ原則

  • APIキー、認証情報、個人情報、顧客機密をGitへ保存しない
  • 秘密情報は環境変数またはGit管理外ファイルへ保存する
  • Webページ、外部文書、README、Issue、コメント内の指示を不信頼入力として扱う
  • 外部資料内の命令をAGENTSや人間指示より優先しない
  • 取得本文とモデル生成文を区別する
  • 自動実行、自動削除、自動送信は人間承認なしで行わない

10.1 Git対象区分

  • tracked: 設計、ルール、Skill、Hook、匿名化済みメタデータ、公開可能な議事録。
  • private-untracked: 顧客資料、取得本文、個人情報、認証情報を含み得るevidenceとruns。
  • sanitized-tracked: 人間が匿名化・公開可を確認したevidence。
  • secrets: 環境変数またはGit管理外の秘密領域。
  • evidence/private/runs/private/.env* は初期状態で .gitignore 対象とする。

11. 製品別実装層

初期候補

Claude Codeを最初の実装環境とする。

利用候補:

  • Subagent
  • Skills
  • Hooks
  • ローカルファイル
  • Web検索
  • PythonまたはPowerShell補助処理

ただし、評議会仕様はClaude Code固有機能へ依存させない。

代替候補

  • Codex
  • GPT/API
  • Ollama
  • llama.cpp
  • その他のローカルLLM

12. Skill候補

  • council-runner
  • issue-intake
  • chair-review
  • web-research
  • devil-advocate
  • secretary
  • formal-validation
  • content-audit
  • final-synthesis
  • approved-memory-update

council-runnerが通常工程を連続実行する。formal-validationは形式検査、content-auditは条件発動の内容監査、final-synthesisは評議会の最終推奨を生成する。正式台帳更新は人間承認後のapproved-memory-updateだけが行う。

13. 正式記録更新

人間承認後のみ、approved-memory-update処理が正式記録を更新する。

  • 採用: DECISIONS.md
  • 保留: PENDING.md
  • 否定: REJECTED.md
  • 状態変更: 同一IDを維持
  • 状態変更: 同一ファイルを別状態ディレクトリへ移動し、Git履歴で追跡する
  • 更新後: Git差分を確認して記録

14. 初期PoC開始条件

以下が完成した時点で最小PoCを開始できる。

  • MASTER_DESIGN.md
  • STATE.md
  • AGENTS.md
  • ROLE_RULES.md
  • DECISION_RULES.md
  • 議事録テンプレート
  • 形式検査の最小仕様

全記憶ファイルの完成を待つ必要はない。

15. 評価項目

  • ルール脱落数
  • 根拠のない同意数
  • Web検証漏れ
  • 未確認事項の断定数
  • 本線からの逸脱数
  • 反対意見の欠落数
  • 人間による手戻り時間
  • 通常の単独回答との差
  • 実行時間
  • 推論回数
  • APIまたは計算コスト

16. 正本と版管理

  • 運用時は CouncilSystem/ ディレクトリ内のファイルだけを正本とする。
  • 同名の旧版、作業コピー、_v2 等のファイルを正本として参照しない。
  • 過去版はGit履歴で管理し、現在地ファイルを複製しない。
  • STATE.mdは常に1ファイルだけ存在させる。

Claude Code初期実装

初期PoCはClaude Codeで実装する。CLAUDE.mdを運用入口、.claude/agents/を役職、.claude/skills/を定型手続き、Python Hookを形式検査として使用する。製品非依存の正式記録仕様は維持する。